特定技能のビザ申請は本当に大変か検証してみた

特定技能のビザ申請は本当に大変か検証してみた

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川嶋万里 - 更新日:2020年11月26日

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Connect Job WORKERSでは、在留資格「特定技能」で外国人雇用を考える皆様に役立つ情報を発信していきます。


2019年4月に創設された「特定技能」制度で、現在約8,769人(2020年9月末時点)の外国人の方が在留しています(法務省発表)。

当初1年で約3万人(5年間で約34万人)の受入が見込まれていた特定技能ですが、思うように受入が進まない理由の一つによく挙げられるのが「ビザ申請用の書類作成・準備の大変さ」です。

今回は「特定技能のビザ申請は本当に大変なのか?」を検証するため、
コロナ禍で申請が多い日本在住者(特に留学生)の在留資格変更申請を例に、
・実際にどんな書類を作成・準備をする必要があるのか?
・それはどれくらい作成・準備が大変な書類なのか?
を確かめていきたいと思います。

Agenda
  • 1. まずは必要書類をチェック
  • 2. 「その他の書類」って何?
  •   a. 自分で作成する書類
  •   b. 取り寄せが必要な書類
  • 3. まとめ
1.
  まずは必要書類をチェック

まずは、特定技能のビザ申請に必要な書類をチェックしていきましょう。
検索エンジンで「特定技能」等と検索すると出てくる法務省のページに、必要な書類のリストが掲載されていました。

今回の記事では、国内留学生からの切替を想定していますので、変更申請のページを確認してみます。
すると、必要書類としては、大きく6種類の書類が必要だという事が分かりました。

  • <必要書類リスト>
  •  ①在留資格変更許可申請書 一通
  •  ②写真(4cm×3cm)一葉
  •  ③申請人のパスポートと在留カード 提示
  •  ④その他の書類
  •  ⑤(複数人の申請をまとめて行う場合)申請人名
  •  ⑥(申請人本人でない者が申請する場合)身分を証明する書類

1つ1つを見ていくと、①~③、⑤⑥等は、他の申請でも一般的に求められる書類で、準備はそこまで大変なものではありません。

特定技能の申請が大変といわれる所以は「④その他の書類」にあります。

2.
  「その他の書類」って何?

恐る恐る「その他の書類」のリストを覗いてみると、11ページにわたって必要な書類がまとめられていました。14業種ごとに必要書類が異なる他、試験ルートか技能実習ルートか等によっても書類が変わり、その数はざっと40種類に及ぶ様です。

一見すると膨大な数の書類を準備・提出しなければならないように見えるので、これだけでクラクラしてきてしまいそうですね。。


(図)提出書類リストの一部。

本コラムのテーマ「特定技能のビザ申請は本当に大変なのか?」の検証はここからが本番です。

例えば介護業で就労をする場合(留学からの試験ルート)の必要書類について、より詳しく見ていきましょう。

必要書類を「自分で作成する書類」「取り寄せ/回収が必要な書類」の2種類に分けると、
以下の表の様にまとめる事ができます。

全業種で必要な共通書類(約20種※) 介護分野(試験ルート)で必要な書類(7種)
1自分で作成する書類



取り寄せ/回収が必要な書類
・変更許可申請書
・報酬に関する説明書
・雇用契約書 等(16種)

・受入企業の役員の住民票
・申請人の納税証明書
・国民健康保険証の写し
・源泉徴収票  等
・事業所の概要書
・受け入れに関する誓約書


・指定通知書の写し
・介護技能評価試験合格証明書の写し
・介護日本語評価試験の合格証明書の写し
・日本語能力試験N4または日本語基礎テストA2の合格証明書の写し

「その他の書類」のリストを初めに見たときには、11ページを前に愕然としてしまいそうでしたが、こうして必要な書類だけを整理してみると、やるべき事がすっきりと見えてきますね。

▼自分で作成する書類について

今回の場合、分野共通で必要な16種に加え、試験ルートで介護分野の場合+2種で、自分で作成が必要な書類は合計20種類程度。初めの印象よりグッと減ったので「思ったより少ないかも…」と感じてしまいそうな所ですが、更に追い風として、自力で作成する書類については、基本的に出入国在留管理庁が定めた様式(テンプレート)が存在します。

(図)様式の例(分野別様式1-1「介護分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書」)

写真の例のように、出入国在留管理庁の様式には「自由記述」の欄はほとんどなく、基本的には内容をきちんと読んだ上で、企業担当者や外国人本人の署名で「空欄」を埋めていく様な形式になっています。

最も自由記述欄が多い「支援計画書」(参考様式第1-17号)をとって見ても、自由記述は支援担当者の住所や名前、登録支援機関への委託の有無、支援業務の実施方法(対面かオンラインか)等であり、空欄の数は多いものの、内容に悩んでしまう様な設問ではありません。

(図)参考様式第1-17号「1号特定技能外国人支援計画書」から抜粋。

「作成書類の様式が定まっている」という点においては、自由フォーマットで書類の提出を求められる事もある他の在留資格と比べると、特定技能の申請は書類の数は多い一方、記入時に迷いが少なくサクサクと作成・準備を進める事ができる為、作成の難易度は低いと言えると思います。

取り寄せ/回収が必要な書類について

特定技能の申請書類において手間がかかり大変なのは、恐らく自分で作成する書類ではなく、取り寄せや回収が必要な書類でしょう。

申請者の試験合格証明書(試験ルートの場合)や、源泉徴収票、納税証明書、受け入れ企業の役員の住民票等、取り寄せ先が異なる様々な書類を入手する必要があります。期日までに申請を完了させる為に、申請者にまつわる書類の回収だけでなく、御社内でも普段他では取り寄せない様な書類の手配も必要になる為、余裕を持って手配をする必要があるかと思います。

採用活用を進められている内に、あらかじめ最寄りの窓口を調べたり、候補者とのコミュニケーションの中で確認をする等、効率よく書類を入手するための準備しておくとよいかもしれません。

3.
  まとめ

今回は、「書類の準備が大変」と話題の特定技能のビザ申請について、どの部分に手間がかかりそうなのか、逆に実は手間がかからなさそうなのか、を整理してみました。

「その他の書類」リストを見た時には気持ちが滅入ってしまっていたけど、整理してみると少し気持ちが楽になった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

まだまだ煩雑な部分もある申請ではありますが、既に特定技能のビザ申請を何十件もこなされてきた企業からは「意外とシンプルで、慣れれば簡単ですよ!」という声もあります。取り寄せや回収が必要な書類集めを前持って効率的に行い、作成書類については地道に様式を埋めていくだけ、と実はシンプルな準備が故に、考え方次第では他より楽に申請を行うことができる在留資格と言えます。

初めて取り組まれるという方も、ぜひまずは、出入国在留管理庁のウェブサイトで申請書類リストや様式からチェックしてみてください!

参考:出入国在留管理庁「特定技能運用要領・各種様式等」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00201.html.

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筆者

川嶋 万里 経営企画部

フォースバレー・コンシェルジュで外国人材マーケット、移民政策の比較分析、政策提言の設計等を経験。
趣味はアニメ鑑賞で好きな映画はゴジラシリーズ。

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